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モンゴル


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「ゲル地区」に住む人々の生活改善を目指して

国連ハビタット コンサルタント 轟由紀(元 スリランカ事務所、福岡本部職員)

ゲル地区風景。柵で囲った敷地にゲル(テント)や簡易な家を建てる。上下水・道路・学校などの基礎インフラが未整備。(撮影:Bharat Dahiya)ゲル地区風景。柵で囲った敷地にゲル(テント)や簡易な家を
建てる。上下水・道路・学校などの基礎インフラが未整備。
(撮影:Bharat Dahiya)

国連ハビタットは、モンゴルの首都ウランバートル市にて、「ゲル地区生活環境改善計画」事業(日本政府の資金供与)を実施しています。近年、深刻な雪害や移住の自由化により、草原での牧畜生活を捨てて首都に移住する人々が急増しており、ウランバートル市の人口は過去10年で50万人から100万人となりました。これらの移住者は、政府からあてがわれた都市周辺地域の敷地を柵で囲い、そこにゲル(テント)や簡易な家を建てて住んでいます。このような地域は「ゲル地区」とよばれ、ウランバートル市では中心部の整然とした街並みを取り囲むように、この「ゲル地区」が延々と広がっています。ゲル地区では、上下水、道路、学校などの基礎インフラの未整備が最も深刻な問題です。本事業では、5つのゲル地区を選び、ウランバートル市、政府関係機関、住民と共同で、基礎インフラの整備事業を実施しています。

給水所から水を運ぶ。路面がでこぼこでまっすぐに進まない。冬はマイナス30度~40度となり、水運びはますます厳しい作業となる。(撮影:筆者)給水所から水を運ぶ。路面がでこぼこでまっすぐに進まない。
冬はマイナス30度~40度となり、水運びはますます厳しい作
業となる。(撮影:筆者)

私は、本事業のコンサルタントとして、年に数カ月現地に滞在し、国連ハビタット現地スタッフの支援にあたっています。国連ハビタットが各国で実施してきた「住民主体の居住改善」のアプローチをこの地でどう適用するか、スタッフとともに試行錯誤を重ねています。モンゴルは1920~1980年代まで旧ソ連の社会主義体制下にありました。このため、ボトムアップの住民主体のアプローチが現地になじむかどうかが、当初から懸念されました。しかし、これまで住民の話し合いの場に何度か参加して、住民の方々が「ゲル地区の厳しい生活を改善したい。」という強い気持ちを持っていることを知りました。住民からは、「私たちの意見を最初から取り込んでくれるのは、このプロジェクトが初めて。」という声も聞かれます。

「コミュニティー活動計画」ワークショップで、熱心に話し合うコミュティー代表者。女性、老人の活躍が目立つ。(撮影:筆者)「コミュニティー活動計画」ワークショップで、熱心に話し
合うコミュティー代表者。女性、老人の活躍が目立つ。
(撮影:筆者)

その一例として、2010年6月2日に私が参加した「コミュニティー活動計画」ワークショップを紹介します。ワークショップでは、コミュニティーの代表者が集まって、コミュニティーの問題を挙げ、それらを解決するには何をすべきかを話し合います。そのうえで、各コミュニティーに支給される約100万円の使い道を決定します。この日のワークショップでは、道の整備に資金を使うことが話し合われました。ゲル地区の道の路面はでこぼこで、給水所から水を運ぶのも一苦労。車もまっすぐに進めず、事故の危険も多いのです。「100万円で道の整備は難しいと思います。」というスタッフに対し、「いやいや、舗装をしなくても、小さな砂利を敷いて機械で踏み固めればだいぶ改善できる。ほら、これが私たちのコミュニティーに住むエンジニアが作成した見積もりだよ。」と、コミュニティー代表者は必死です。「これが駄目だったら、2番目の案として、排水溝の整備を行いたい。これが、エンジニアの描いたデザインと見積もり。」とまた別の書類を差し出します。今後、これらの提案を、国連ハビタットのエンジニアが精査し、コミュニティーとの話し合いを経て工事の内容を最終化します。そして、工事は、住民の手により実施されます。

国連ハビタットの仕事を通じて、「コミュニティーに住む住民の方々こそ、必要なものを一番よく知っている。」「コミュニティーの中に、エンジニアや大工など、居住改善のノウハウを持つ人々がたくさん居る。」と、私はいつも気付かされます。与える援助ではなく、人々のやる気と能力を引き出す支援。国連ハビタットの住民主体のアプローチが、ここモンゴルでも実施されつつあります。


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